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新型コロナワクチンの小児への接種について – 院長の私見

  • お知らせ

「新型コロナワクチンの小児への接種について」  (2022年3月28日改定)

現在、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症の拡大がみられており、小児への感染が増加しています。

すでに接種が行われている12歳以上への新型コロナワクチン接種に加え、5歳~11歳の小児に対する新型コロナワクチンも特例承認を受け、接種が開始されました。

多くの保護者の皆さまは、小児への新型コロナワクチン接種について、疑問や不安をお持ちだと思います。現状を踏まえて、5歳~11歳の小児に対する新型コロナワクチン接種についての院長の私見をまとめ直してみましたので、接種の是非を決める際の参考にしていただきたいと思います。

  • 小児の新型コロナウイルス感染症の多くは軽症である

新型コロナウイルス感染症による重症例や死亡例の多くは、基礎疾患のある高齢者です。小児のコロナウイルス感染症の症状の多くは、いわゆる風邪症状で、数日で症状は軽快します。小児ではRSウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症の方が、治るまでの日数が長く、重症化する可能性が高いため注意が必要と考えます。

新型コロナ・オミクロン株は、従来のデルタ株などに比べて軽症例が多いと報告されています。当院での診療でも、多くの小児新型コロナ患者さんは軽い症状で軽快しています。但し、基礎疾患をお持ちのハイリスク患者さんは、重症化の可能性があるため油断は禁物です。

参考資料<これまでの日本国内の小児新型コロナ感染者数> (2022年3月22日時点)

10歳以下 752029名(重症8名、死亡3名) 死亡率0.0004%

10歳~19歳 794422名(重症1名、死亡8名) 死亡率0.001%

  • これまでは新型コロナウイルス感染拡大の中心は成人 → 子供どうしの感染症になってきた

これまで、新型コロナウイルス感染のほとんどは成人同士の間で起こっており、感染した大人が家庭に持ち込むことで子どもが感染する例が多くみられました。これまでは、学校、幼稚園、保育園でのクラスターの発生は、会社など成人のクラスターの発生よりも非常に少なく、こども同士での感染拡大は少ないとみられていました。しかしオミクロン株では感染性が高まり、空気感染により、保育園、幼稚園、小中学校での集団における感染拡大が起きています。

  • 新型コロナウイルスワクチンは、従来のワクチンより副反応が強く、長期的な副反応は不明 + オミクロン株への効果は不十分

現在使われている新型コロナウイルスワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという、今回初めて人類に対して使用されるワクチンです。厚生労働省によれば、大きな副反応はなく安全なワクチンとされていますが、若年層での心筋炎などの重大な副反応が疑われる例の報告もみられます。従来のインフルエンザワクチンなどと比べて、接種後の発熱、頭痛、倦怠感などの副反応が多くみられ、特に年齢層が若いほど副反応を呈する割合が高いことが知られています。稀な副反応といわれている心筋症ですが、近隣で既に数例のワクチン接種後の発症がみられており、発症の頻度は報告以上に多い可能性があり、十分な注意が必要です。また、多感な思春期のお子さんでは、過度な不安から「迷走神経反射」といわれる症状を呈し、めまい、吐き気、失神、転倒などをおこし、接種後に体調不良をきたす方が多くみられます。

厚生労働省によれば、新型コロナウイルスワクチンによる長期的な副反応はないとされていますが、以前使われていた日本脳炎ワクチンは、数十年に渡り接種を行った後に副反応が明らかになり、その後新たな日本脳炎ワクチンが開発された経緯があります。新型コロナウイルスワクチンは開発されて1年足らずのワクチンであり、現時点では長期的な副反応について不明な点は多いといえます。特に5歳~11歳の新型コロナワクチン接種の治験は、わずか2250人のデータをもとにしたものであり、重大な副反応をみるにしては不十分な数字といえます。今後長い未来のある子供たちのため、副反応については、より慎重に考えることが大切だと考えます。

デルタ株までに比べ、オミクロン株へのワクチン効果の低下が各国で指摘されています。ワクチン接種の最先端をいくイスラエルでは3回目接種が済んでもオミクロン株による感染拡大がみられ、高齢者には4回目の接種を行うとのこと。

当院での1月以降の診療では、2回目接種、3回目接種されていても感染する例をたびたび経験しています。厚生労働省のデータからも、オミクロン株へのワクチン効果は、以前よりも低いことが示されています。現行のワクチンで高率に感染を防げるわけではないといえます。また、小児に対するオミクロン株に対するワクチンの有効性を示す正式なデータは、まだ示されていません。

  • まとめ

オミクロン株の出現により、基礎疾患のあるハイリスクの小児や、ご家族の中に高齢者、基礎疾患のあるハイリスク者がいる場合には、ワクチン接種の必要性は高まったと考えますが、健康な小児への新型コロナワクチン接種の必要性は依然低いと考えます。

小児でのオミクロン株に対するワクチン効果が現状では不明であり、諸外国のデータでも有効性は低いままです。5歳~11歳のワクチン接種は3月から開始されましたが、拙速なワクチン接種の決定は不要だと思います。この数カ月の流行状況、症状などを見たうえで、リスクと有益性を理解し、接種者と保護者が納得したうえで接種の是非をお決めください。

小児へのコロナワクチン接種に関して、国は推進する方向でいますが、ワクチンの効果ばかりが報道され、副反応に対しての報道はなされず、ワクチンの安全性が軽視されている点が心配です。ワクチンの必要性は、病気によるリスクとワクチンの副反応によるリスクを天秤にかけて決まりますので、今後も状況により変化するものであることをご理解ください。

当院でも希望者に対する接種を予定していますが、現在は新型コロナウイルス感染症の患者さんの増加で、診療がひっ迫しており、予防接種を行う時間、接種後の待機場所の確保ができません。流行の状況をみながら接種を行ってまいります。

 

座間小児科院長 山崎雅彦

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